認知症の進行により、大切な家族が道に迷ってしまう不安を抱えている方は少なくありません。今回は、家族の安全を守りつつ、尊厳も大切にするGPS見守りの方法をご紹介します。認知症が進んでくると迷子になり家に帰って来れなくなったり、重度な症状になると夜・夜中に徘徊をして怪我ををするなど、場合によっては家族の命が危険にさらされることになります。多くの方は迷子や行方不明になっても自宅から半径5km以内にいることが多く、その際GPSを身に着けていると発見しやすくなります。
まず大切にしたいこと
本人との対話を最優先に
可能であれば、まずはご本人と率直に話し合うことが重要です。
- 「お散歩中に心配だから、お守りを持っていてほしい」
- 「家族が安心できるように」といった説明
- 本人が納得できる形での導入を目指す
GPS機器の選び方と活用法
1. 日常的に使用するものに内蔵タイプ
腕時計型GPS
- Apple WatchやGPS機能付きスマートウォッチ
- 健康管理機能として自然に紹介
- 「血圧や歩数が測れて便利ですよ」という説明
財布・カードケース型
- 普段使いの財布にGPSカードを忍ばせる
- 薄型のGPS追跡カードを使用
- 定期的に確認して電池切れに注意
2. 身につけるアクセサリータイプ
GPS付きペンダント
- お守りやアクセサリーとして自然
- 緊急ボタン付きのものを選ぶ
- 「健康のお守り」として説明
靴に装着するタイプ
3. 衣類に取り付けるタイプ
服のボタン型GPS
- よく着る洋服のボタンと交換
- 小型で目立たない
- 洗濯時の取り外しに注意
名札・ワッペン型
- 「緊急連絡先」として自然に装着
- デイサービスなどでも違和感なし
技術的な準備と設定
スマートフォンアプリの活用
- 家族全員で位置情報を共有
- リアルタイム通知の設定
- 安全エリアから出た際のアラート機能
複数の見守り方法の併用
- GPS機器を2つ以上組み合わせ
- 近所の方への協力依頼
- 地域の見守りネットワークへの登録
注意すべきポイント
プライバシーと尊厳の配慮
- 本人の人格を尊重する姿勢
- 過度な監視にならないよう配慮
- 家族間でのルール決めが重要
技術的な注意点
- 電池切れ対策(定期的な充電・交換)
- 防水・耐久性の確認
- 通信エリアの確認
緊急時の対応準備
- 発見時の対応手順の確立
- 警察や地域包括支援センターとの連携
- 医療情報や服薬情報の準備
おすすめGPS機器
初心者向け
- みまもりGPS: 月額料金が手頃、操作が簡単
- Apple Watch SE: 健康機能も充実
高機能タイプ
- BoT トーク: 会話機能付き見守りデバイス
- GPS BoT: 小型で取り付け場所を選ばない
家族としての心構え
長期的な視点で考える
- 認知症の進行に合わせた対応の変更
- 本人の意思をできるだけ尊重
- 家族全体での情報共有
専門家との連携
- ケアマネジャーへの相談
- 医師との治療方針の確認
- 地域包括支援センターの活用
まとめ
認知症の家族を見守るGPS活用は、本人の安全と尊厳のバランスを取ることが最も大切です。技術的な解決策だけでなく、家族や地域との連携、そして何より本人とのコミュニケーションを大切にしながら、安心できる環境づくりを進めていきましょう。
完璧な方法はありませんが、愛情を持って取り組むことで、家族みんなが安心して過ごせる日々を築いていけるはずです。
この記事は一般的な情報提供を目的としており、個別の医療判断については必ず専門医にご相談ください。
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